むかし 飼育小屋に‘ラッちゃん’というウサギがいた
彼女は母ウサギとなり 9匹のかわいい赤ちゃんを披露する
私は1匹だけ ラッちゃんと同じ白いふわふわのもこもこのウサギを選び
安心するのかしら、 手のひらで優しく囲むと眠るのだ
冬制服の上着のポケットが丁度よいサイズでそこで眠らせたりした
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それから数年後 なぜか早朝からリビングでミーミーミー とないている
木箱をのぞくと 白いふわふわのもこもこがいた
それが私と白い猫のはじまりだった
右目はエメラルド、左目は澄んだコバルトブルーのその猫は
ピアノの練習をする私の傍にいることを習慣にする
ピアノの練習をする私の傍にいることを習慣にする
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丁度ピアノや進路で悩んでいたこともあって 私にとってこの猫はある意味 願掛け、そして魔法 のような不思議なパワーを感じていた
だから名前を付けるのに1週間もかかった もう‘シロ’にするわよ という声を余所に
白に関連することば、美しいことば、雅やかなことば、カタカナ、ロシア語、音楽用語、初めにその猫を見たときにインスピレーションしたこと…
私はポケットにいれたことのある白いふわふわのもこもこを思い出して、そして絶対的な神のような、バックグラウンドも欲しかった
Lotus 蓮の花は 仏陀の花 ふっくらと丸みを帯びて やさしく微笑む
そうしてこの日から この白い猫は蓮となる
最後の木曜日に舞台で決して悲しみをさらけ出さないことを誓った
凛と強く私を見た蓮との約束で
演奏会が終わりに近づくと、蓮との時間が終わることを悟った
ありがとうなんていわないよ
いつか絶対また会える