まばゆい幻影
儚く強く粋な
一人の女性がいました
ピアノを通じて
彼女と過ごした1年は
私の人生でとても大きなものだったと確信しています
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かがみ かがみよ かがみさん
彼女は私に 「毒入りの」りんご と
そして最近になって 「魔法の」鏡をくれたっけ。。 |
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『 私はもしかしてあの日 双子を産んだのかもしれない 』
わたしたちの会話はいつもひょんなところからはじまり
「芳子さん、これフレンチクルーラーいうんで。おいしいん」
会いにいく度にお菓子を持っていくのも楽しみでした。
『 ちかこサン これからは“たぬき”年か“いたち”年ていわなきゃだめだよ』
芳子さんとはたくさん約束した。
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私がピアノで失敗をした時に
彼女はそおっと手をのばすかわりに
中国の古いおはなしをしてくれた
それは だれのどんなことばよりも私にいちばん力をくれた |
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『 やだねー すき焼きに大根なんていれないよ 』
私が作るすき焼きの大根はだめで、なぜかおうどんは許された
毎週にちようびはきまってすき焼きを2人で食べるのです。
あんず酒で乾杯。女の秘密
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たたみ たたみ うれしいな
たたみ たたみ あたらしい
たたみ たたみ すきなのよ
いぐさのにおい なつかしい
ちかこさん ありがとう
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芳子さん ありがとう
ピアノの部屋に残された新品のクーラー
私はそれがなにを物語っているか知ってる。
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