谷崎潤一郎の『細雪』の一場面に面白い場面がある。
白系ロシア人のキリレンコ一家に招かれる妙子たちーそこにはロシアのことわざにあるように『客人がきたときは家にあるもの全てを出してもよい』ほどのおもてなし好きロシア人による食べきれないほどダイナミックな食事風景。そしてそれと対比される形で、ドイツ人のシュトルツ一家の質実な台所風景も描写されており谷崎氏の鋭い洞察力,またこの場面がロシア人とドイツ人の国民性の違いだけでなく、自由奔放に生きる四女、妙子と、堅実でまじめな次女、幸子の性格の違いとも重なり合っていることも表現されている所も魅惑的だ。
ドストエフスキーの『罪と罰』にシーという ロシアならではのスープがある。
なんてことはない。発酵させたピクルス状の細切りされたキャベツと肉のかたまりを朝にお鍋で煮込んでおくと、夕方にはとても美味しい煮込みスープとなり黒パンと頂く。
このシーは少し酸味がありそれがかえって食欲を増したり口当たりもさっぱりとしていて癖になる味だ。ゴーゴリ『死せる魂』のピロシキ、チェーホフの『おろかなフランス人』にでてくるロシアのクレープ、ブリヌィ、にしんの酢漬け、トゥルゲーネフ『猟人日記』のサモワールで淹れられる紅茶。。。など 文学を通して懐かしい景色がよみがえる。。。香り、音、記憶とは五感によって形成されると常々痛感している。
読書をしに青葉台に
お花に囲まれながら青山でお茶をして
くすのきに会いに公園へ行く
森のくまさんのような土の香りのする絵本にでてくる食べ物も好きだし
上質なチョコレートもひとつのストーリーを持つほどのもので大好きになった
要はなにをおいても常に空腹でいることが大切なのだ
Bon après-midi
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